オヤビッチャ（親美姫）
Abudefduf vaigiensis

–大きさ–
全長20cmほどの小さな魚ですが、その名前の由来は諸説あります。一説によると、「ビッチャ」とは東北地方などで赤ん坊という意味で、親になっても赤ん坊のように小さい魚の意だとか。もう一説によると、沖縄方言で綾が走るという意味の「アヤビッチ」から来ているとか。

–色–
体色は灰色ですが、背中は黄色を帯びています。また、体側には5本の黒い横縞が入っています。これは他のスズメダイ科の魚と同様に、敵から身を守るための保護色だと考えられます。しかし、オヤビッチャは気分によって色を変えることができます。求愛期になると、地色は青くなり、縞模様も鮮やかになります。これは相手を惹きつけるための色彩だと思われます。オヤビッチャは恋する乙女のように色っぽくなるのです。

–形–
細長い体型をしていますが、その形は実は非常に効率的です。オヤビッチャは岩礁やサンゴ礁などの複雑な環境に住んでいますが、細長い体型は隙間に入り込んだり、素早く動いたりするのに適しています。また、オヤビッチャは分厚い鱗を持っており、これは敵から身を守るための防具となっています。オヤビッチャは小さいけれどもタフな魚なのです。

–どこにいる？–
インド洋から西太平洋にかけての温暖な地域に広く分布しています。日本では千葉県以南に生息しています。水深12mまでの岩礁やサンゴ礁に棲んでおり、若魚はタイドプールでも見られます。幼魚は流れ藻について表層で生活します。オヤビッチャは温かくて明るい場所が好きなようですね。

-どんな魚？-
雑食性ですが、動物質の餌を好みます。小さな甲殻類や貝類を食べます。また、オヤビッチャは群れで行動することが多く、仲間と協力して餌を探したり、縄張りを守ったりします。オヤビッチャは高温期に垂直な岩壁に産卵し、卵は雄が守ります。オヤビッチャは社会性が高く、家族愛も深い魚なのです。

-美味しい？-
浅瀬にいるため、釣り人に餌取・外道として嫌われているイメージですが、味はどうなのでしょうか。味は「普通」といった評価で特段まずいとも美味しいとも言えないようです。食べ方は唐揚げや塩焼きが一般的で、食中毒などの報告も無いようなので安心して食べれますね。